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広場・公園のデザインとは広場・公園のデザインを行う上で、知っていてほしい基礎的な知識を「ランドスケープアーキテクトになる本」という文献の中からご紹介します。 ランドスケープアーキテクトという職能 −その魅力について 1−記憶に残る仕事 どこかの総合建設会社のテレビコマーシャルに出てくるコピーに「地図に残る仕事」というのがあったと思います。道路や橋梁、ダムや港湾、大規模な建築物などを建設することを通じて、国土に物理的なかたちを刻みこんでいく、そして、それらが地図の中に記号化され、固有名詞が与えられる、そんな仕事のことです。そこに人々は、ある種のロマンティシズムと魅力を感じるものだ、ということなのでしょう。 2−自然に寄り添う ランドスケープアーキテクトは、すぐれて近代的な職能です。もちろん、近代以前にも似たような職能はありました。庭造りを生業とする人たちです。しかし、近代にはいって人が膨大な技術力を手にすると、自然と人為の力関係が逆転しました。自然に対して人為が優位となる関係が確立したところから、この職能の持つ意味がクローズアップされることになったといえるでしょう。それは、自然との間合いをはかりながら、そこに人の営為を審美的に表現する機会を獲得したことを意味します。自然をそのまま模倣したり、自然を制圧したりすることとは本質的に異なる態度や価値観をもとに、自然との関係を文化として表現できる可能性に気づいたことになるでしょう。 3−時代の先端をいく 自然と並列的な位置に寄り添うことによって自然との間合いをはかり、そこに魅力的な空間や景観を創出するという職能は、実は、ある意味で時代の先端をいくものではないかと思うことがよくあります。グローバルスケールで深刻化する環境問題の解決に対して、私たちの職能が直接的な貢献をなすことができるとしても、その範囲や効果は限定的なものにとどまらざるをえないでしょう。しかし、自然に寄り添うという態度そのものは、環境問題の解決にむけて人がとるべき最も基本的なスタンスを象徴しているものです。バランスを失した自然の回復をサポートするという立場が要求されている現代において、同じ価値を共有する多くの職能がめざすべき方向に、明確で具体的な環境像を提示するという役割が、ランドスケープアーキテクトには期待されていると感じられるのです。 4−協働する職能 さて、このような魅力のあるランドスケープアーキテクトの職能には、もうひとつの大事な特徴があります。それは、私たちが携わるプランニングやデザインの仕事が、様々な「関係」のうえになりたっているということです。たとえば、ランドスケープのデザインでは、景観の前景になるものと背景になるもの、すでに存在するものと新たに付加されるもの、建築と自然、などを関係づけることがデザインの基調になっています。このことはプランニングにおいても同様で、地域の土地利用や景観に関わる計画や生態系の保全に関わる計画などは、様々な要素や要因の間の関係を調整するために必要な措置をプログラミングすることが主な内容になります。 5−GIFT FOR THE SOCIETY ランドスケープは、自然との間合いをはかりながら土地の上に描かれた人の営為の視覚像です。それは、人が土地の上に引いた便宜的な境界線のようなものを超えてひろがります。ですから、ランドスケープのデザインやプランニングでは、結果として立ち現れる景観や空間の中に、広い意味での公共性というものが常に意識されていなければならないでしょう。国や地方自治体などが設置したり管理したりする領域だけに想定されている狭い意味での公共性だけを考慮しているようでは不十分だということです。事実、民間企業や個人が所有していたり、管理していたりする空間にも、極めて高い公共性が認められることが多くなっています。逆に、公的な所有や管理になる領域にも、特定の個人や法人にとっての特別な意味が発生していることもあるのです。現代では公共性の意味が進化しているといえるでしょう。 計画原論 ランドスケープアーキテクトの仕事は、公共施設で厚利公園の整備や道路・河川等の環境整備から、民有地である住宅地・商業業務施設・工場等の緑化、樹林地や山林等の保全・再生、さらには都市・地域レベルでの緑の保全・創出や環境整備、緑地のネットワーク形成、景観形成等の幅広い領域に及びます。ランドスケープアーキテクトがこれらの業務に適切に対応していくためには、その共通基盤となるランドスケープの特徴や公園・緑地計画の思想、計画・設計作業の手順と内容、ランドスケープに関する制度・しくみなどを深く理解し、計画・設計に反映させていくことが求められます。 自然的側面 土地や空間をデザインする上で、自然の要素を主たる対象物として扱うことが、ランドスケープアーキテクトと土木技術者・建築設計者の大きな相違点です。したがって、ランドスケープアーキテクトには、緑・水・土地等の自然の要素を「命ある素材」として活用するデザイン能力と、生態学的原理に基づく土地利用や生態系の構造・機能を活かした環境デザイン能力が求められます。このように、自然的側面に関わる項目はランドスケープアーキテクトの骨格となる部分であり、業務を進める上で最も重要な技術となるものです。 歴史・文化・社会的側面 ランドスケープアーキテクトは、その業務において蓄積してきたデザイン力を最大限に発揮しながら、社会的課題の解決や時代のニーズに結びつく成果を提供していくことが求められます。 植物・植栽 ランドスケープにおける「植物」はランドスケープ空間を構成する基本的要素であり、「植栽」は様々な植物を用いて快適で美しい空間をデザインする計画・設計技術です。 植栽設計とは、敷地が持つ特性を読み取り、設計上求められる諸々の機能を満たす、または改善する緑を配置する技術です。植物は人々の生活に潤いを与えるだけでなく、環境改善としての防風、防潮、防火、防音などの緩衝機能や微気象の緩和などの役割を担うなど、人間を取り巻く環境の持続性の質のコントロールに大きな役割を果たします。ランドスケープアーキテクトは、このような植物材料を扱う重要な立場にあるといえます。既存の緑を保存・活用することを考えるとともに、新たに植物を配植し、管理育成することについても検討します。さらに植物の生態特性、形や色あるいは感触(テクスチャー)などの景観特性を把握し、植物が人に与える効果や影響を考慮して、生育環境条件に適した種類を選び、あるいは目的とする植物に適した環境を整えます。
ランドスケープ関連施設・材料 ランドスケープ空間では、各施設がそれぞれの役割を果たし、また相互に連携して人々の安全・快適な利用や良好な環境を支えています。 造成・排水 ランドスケープの計画・設計対象となる土地は、丘陵地・大地・谷戸地・低地・急傾斜地・緩斜面地・平坦地等の多様な空間単位から構成されます。それぞれの場所ごとに土地の歴史が刻まれ、風景が形成されており、自然的な環境を備えた場所も多くみられます。 ランドスケープデザインの骨格を支えているのは「大地のデザイン」であり、計画地の地形に代表される空間特性を読み取り、意図する空間デザインの基盤を造る造成計画が重要になります。一方、その地形に成立する水循環は生命の基盤となります。地表面での水の収支としては、表面排水、蒸散、浸透に分類され、排水設計においては、新たに計画される表面排水の適切な処理とともに、蒸散効果によるヒートアイランド現象の緩和、雨水の浸透による自然の水循環の保全などに配慮することが大切です。 土地利用ダイヤグラム 「土地利用ダイヤグラム」とは、土地(=自然)の持つ有限な資源を、人間社会に取り込みつつ持続的に活用するための戦略であり、環境条件と計画条件の複雑な関係を明快な図表にまとめることで、プロジェクトの基本方針を示すものです。いわば人間という生物とその多様な活動を、土地の条件に応じて「棲み分け」させる技術です。地形・生態系の保全、水循環、エネルギー負荷の軽減、歴史文化、コミュニティ、バリアフリー等に配慮しつつ、与えられた土地利用プログラムを計画地に組み込み、それらの空間構成要素が調和した感性的な「景観」の保全、もしくは新たに創造する能力が問われます。具体的には、対象となる地形図をベースにゾーニング、動線、景観の計画を模式的な図形(ダイヤグラム)を用いて表現します。 敷地計画 敷地計画とは、敷地が持つ特性を読み取りながら、計画において求められる機能をうまく調和させて配置する技法であり、その複合的な検討結果を端的に図として表現したものが「敷地計画図」です。敷地の諸特性は、地形や植生・気候などの自然的特性や、周辺開発やインフラにかかわる社会的特性、その他人文歴史特性や景観的特性など、多様かつ複合的です。一方、計画において求められる機能も多岐にわたります。「敷地計画図」をきちんと描けるということは、ランドスケープアーキテクトとしてのこれからの複雑な問題を解明するための「整理」と「試行」を進めることができることであり、最終的にはその結果を第三者にきちんと「伝達」できることの証しといえるでしょう。
聞きなれないかもしれませんが、「登録ランドスケープアーキテクト」という資格があります。国家資格ではありませんが、建築でいう建築士のようなものです。広場・公園・ランドスケープのデザインを行う中心的な存在といえるでしょう。 デザインする対象物広場・公園・ランドスケープのデザインにおいて、デザインする対象物を整理すると、おおむね以下のようになります。
デザイン活動の場広場・公園・ランドスケープのデザインにおけるデザイン活動の場は、公園に関わる行政、土木技術者、ランドスケープアーキテクト、造園家などが中心となります。代表的なデザイン活動の場をいくつか挙げてみましょう。
など。 |
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